BtoB企業が新規事業や、まだ市場が開拓されていない分野での事業を実施していく際に、どのようにリードを獲得し、発展させていくかは重要課題になります。デジタルマーケティングは、こうした状況において、ポイントを押さえて実施していくことで、大量のリードを獲得できる可能性に満ちています。
今回は、実際に、新規事業立ち上げ期にデジタルマーケティングを活用して大量のリード獲得に成功したBtoB企業の事例をもとに、その手法をご紹介します。
目次
データをデジタルマーケティングに最大限に活かし、大量のリード獲得に成功
ITサービス事業のD社は、100名規模で非上場のBtoB企業であり、ちょうど新規事業立ち上げ期にありました。D社は、デジタルマーケティングで得たあらゆるデータを駆使し、デジタルマーケティング最適化のみならず、市場分析やマーケティング戦略全般の立案にまで活かしました。データを入念に検証しながらPDCAを回し、マーケティングの成功要因を特定した末に、大量のリードを獲得しました。
その具体的な手法を見ていきましょう。
課題:市場未開拓の商材が商談につながらない
D社の課題は、時代に合った新しい商材が、その真新しさゆえになかなか商談につながらないことにありました。プッシュ型の営業や展示会の実施、過去客への接触、紹介営業などあらゆる施策を実施しても、成果につながりませんでした。
また、デジタルマーケティングを一度着手したものの、これもまた成果につながらず頓挫していた状況でした。
方向性:プル型のデジタルマーケティングこそが最適
こうした市場未開拓の商材や、新規事業立ち上げなどの際にこそ、向いているのがデジタルマーケティングです。なぜなら、直接、営業マンが話しても、注目は集めて興味は持ってもらえるものの、実績が出ていないことからなかなか導入まではいかないものだからです。
デジタルマーケティングであれば、本当に興味のある見込み客に、プル型営業で自ら手を挙げてもらうほうが受注に結び付きやすいことが多いのです。
D社の商材は、まさしくデジタルマーケティングに向いているものでした。
実施:“データ収集と分析”が目的の情報提供型ウェブサイトで分析・改善
具体的に、デジタルマーケティングで実施したことを解説していきます。
ウェブサイトリニューアル
新しい商材の場合、まだその商品・サービスがどのような役に立つのか、そもそもどのような課題を解決してくれるものなのかの情報を発信して啓蒙する必要があります。D社のサイトは商品スペックなどを並べるカタログ的なサイトだったため、啓蒙や問題解決を中心とした情報提供型のウェブサイトにリニューアルすることから着手しました。
商材に興味のあるユーザーを集めることを主目的とし、活用事例や用語解説など、基礎的な知識を中心にウェブサイトを構成しました。
<リニューアルのポイント>
●商品ページ
ユーザーのニーズを把握できるようページを細分化。
●メニューを大きく分割
ユーザーの属性が分かるようにメニューを大きく分割し、どこに人が集まるかを分析。
●FAQ(よくある質問)をできるだけ多く掲載
どの質問が多く閲覧されるかを分析できるようになるため、見込み客の疑問・不安の把握が可能になる。
これらの3つのポイントでウェブサイトをリニューアルし、“データを収集して分析するため”の情報提供型ウェブサイトを構築しました。
ウェブサイト公開後の分析からの施策の検討
ウェブサイト公開後は、アクセス解析を通じてどんな人、どんな企業が興味を持ってくれているのか、それらの人は何を知りたいのか、どんなキーワードで検索しているのかなどを分析します。これにより、ターゲットがより興味を持つウェブサイトに作り上げていく戦略です。
複数回の分析により、次のことが見えてきました。
●基礎講座へのアクセスが圧倒的に多いため、課題への興味は多いが商品への顕在ニーズはほとんどない。
●商品ページから価格ページまで閲覧したユーザーの3分の2は基礎講座の閲覧履歴がある。これにより、基礎講座での情報提供は商品問い合わせにつながるシナリオは十分成果につながる。
●FAQ(よくある質問)は「トライアル」の項目のアクセスが多い。まずは触ってみたいニーズがある。
これらの分析結果を受け、D社は次のことを実現しました。
●基礎講座ページのアクセス増加のためのSEOを実施して、アクセス数5倍を達成。
●リード獲得用ダウンロード資料を準備し、リード数を月間10~20件程度から月間200件超えに。
●トライアルニーズへの対応策として、「ハンズオン・トレーニング」という、D社に来訪してもらい実際に商品を触りながらのトレーニングを実施。集客と共に営業活動へとつなげやすい流れを創出。商談数が大幅にアップ。
リード獲得数600件!デジタルマーケティングの結果と2つの成功要因
D社は、これらの実施後、予算編成のタイミングである1~3月で、リード獲得数600件、商談アポイント数60件という、十分な成果を挙げることができました。
このような大きな成果を出すことができたのは、次の2つの成功要因が考えられます。
●ウェブサイト構築時に目的を明確化し、スピーディーにウェブサイトを立ち上げたことで費用、労力共に大幅に削減できたこと。
●構築したウェブサイトを用いて市場分析をし、成果につながる要因を特定しながら改善を実施したことで、効率よく成果創出ができたこと。
まとめ
新規事業立ち上げ期におけるリード獲得は、市場が未開拓であればなおさら容易ではありません。しかし、ウェブサイトからデータ収集、分析を実施して、成功要因を把握すること、その成功要因の改善を地道に実施していったことで、短期間で効率よく成果を出すことが可能です。
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